江戸のドラゴン!「東玉川神社」

【鎮座地】東京都世田谷区東玉川1-32-9
【御祭神】建御名方命・大山咋尊
【建立】不詳
【社格】
【例祭】8月25日前後の日曜日
【御朱印】あり

まずは鳥居をくぐって手水舎ですが、一見すると縄でぐるぐると巻かれていて…「ありゃ、使用禁止か?」と思ったら
「カラス除け」と。合点が行きました。また、その脇に小さく「井戸水」と書かれています。
よく見ると正面の蛇口からチョロチョロと水が滴っていて…その割に、とても清潔感があります。

そして御社殿へ。ここで狛犬がこっちを見ていないことに気づきます。狛犬同士が正面で向かい合っていて参道には目もくれていない様子です。なんだか、王宮の衛兵や皇居の皇宮警察のような面持ちにも思えてきます。それでいて吽形は顎関節症になるんじゃないかと言うくらいに歯を食いしばっています。

さて、東玉川神社の御社殿は世田谷区登録有形文化財指定を受けている歴史遺産です。
・渋谷の氷川神社から社殿再建に伴い移築
・移築は拝殿が昭和14年、本殿が昭和15年
・建築時期は江戸・寛永年間(1624~1645年)と見られる
・拝殿の向拝天井には、弘化2年(1845)の年記がある龍の墨絵(火焔龍神像)が描かれている
と言うプロフィールをサイトなどから知ることができます。

ただ、火焔龍神像については「東玉川神社」と号されているので、もしかしたらレプリカなのではないかと思われます。と言うのも、この神社は初期においては「諏訪神社」とされていました。その為、御祭神も建御名方神が含まれています。
ただ、今ある神社の多くが「元は◯◯神社で、そこに□□神社が合祀され…」というシンプルな由緒ではないのですねぇ。
少し整理して書くと
・江戸期に近隣鎮守として諏訪社が勧進された
・別当寺は西光寺(廃寺)
・1889年(明治22)年。等々力、用賀、瀬田、上野毛、下野毛、野良田、奥沢、尾山の合併で玉川村成立
・1909(明治42)年。熊野神社(現・玉川神社)へ合祀され廃社された
・1932(昭和7)年。当地が東玉川町として独立。諏訪社再興の動きが現れ、旧諏訪社の土地が確保される
となります。これだけなら、恐らく「東玉川 諏訪神社」なのでしょうが、更に1941(昭和16)年。野毛の日枝神社を遷座する形で許可を得て「東玉川神社」として成立します。
比較的歴史が短い中で多くの変遷を経た神社ですし、それと同時に他所からの移築社殿というのも中々珍しいように思います(一部保存などはありますが、まるまる移築ですし…諏訪さんに氷川さんですし…)。

しかし、再興を願い出た人たちの想いなのでしょうか、神社そのものが生き生きとした生気を感じさせてくれます。

境内社の稲荷社は小柄な狛犬が守っています。この右手には東玉川町町会会館があり、その敷地との区別がつかない…。いや、稲荷社を含めて御社殿とは植え込みで区分けがあるのが分かるのですが‥

町会会館の駐車場(?)と思しき中に神楽殿が…汗。そして、その右手には鳥居が…。
きっと町の人の中に溶け込んでいる神社だからですね(と理解しました)。

さて、御社殿で参拝している時に、こんな唱え(神拝)言葉が書かれていました。通常「祓え給い、清め給え、神(かむ)ながら守り給い、幸(さきわ)え給え」となっているかと思いますが、こちらでは「祓え給い、清め給え、神(かむ)ながら寄(く)しみ給い、幸(さきわ)え給え」です。
守り→寄しみ
どういうことなのでしょうか?(聞いちゃえば良かったのに…。)ちょっと調べました。するとwikipediaに「神語」の項があり『「幸魂奇魂守給幸給」(さきみたま くしみたま まもりたまえ さきはえたまえ)』との言葉が出てきます。
幸魂奇魂とは

神語の起源は日本神話にある。大国主大神が困難に直面した時、海のかなたから、光る神が近づいてきた。それが「幸魂奇魂」(さきみたまくしみたま)であった。 大国主大神は、「幸魂奇魂」の存在を知り、そして自分自身の中に潜む「幸魂奇魂」の霊力により「縁結びの神」になられた。 (wikipediaより)

とあるように大国主の奇御魂がの心があるように思えます。魂の整えと言う理解で良いのでしょうか。また、同様wikipedia「荒魂・和魂」との項で

和魂はさらに幸魂(さきたま、さきみたま、さちみたま)と奇魂(くしたま、くしみたま)に分けられる(しかしこの四つは並列の存在であるといわれる)。幸魂は運によって人に幸を与える働き、収穫をもたらす働きである。奇魂は奇跡によって直接人に幸を与える働きであり、知識才略、学問、技術を表す。幸魂は「豊」、奇魂は「櫛」と表され、神名や神社名に用いられる。

なるほど…です。ここは一霊四魂の考え方をもってくるしかないのですねぇ。しかしながら、幸魂と奇魂を願う心でお祈りをしようというのは勉強になりました!


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